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追憶13

2021/01/27

ミロの真っ直ぐな眼差しに嘘では無いとカミュは信じる。

「お前がそう言うならばそうなのだろうな…。」

「今日はもうゆっくり休んで
…と言いたいとこだけど、寝たら問題が起こるんだよなぁ…。
う~ん…?」

「ミロ…?」

真剣な思案顔でぶつぶつと言っているミロをカミュは少々訝しげに思い声をかける。
それでもぶつぶつ言っているミロを訝しげに見ていると、
急にバッとカミュの方を向き、

「どう言えば良いと思う?」

急にこちらを勢いよく向き何事かと驚いてみれば、自分にそれを聞くか?と思う事を照れ笑いを浮かべながら聞いてくるミロに、カミュは呆れながら、

「何を考えていたかと思えば…。」

だが、自分の事を真剣に案じてくれるミロに温かな気持ちになり、フッと口元を綻ばせる。

「お前が真剣に案じてくれる気持ちだけで十分だ…。
今夜は安らかな気持ちで眠りに着けそうだ。
ありがとう…ミロ。」

カミュの言葉に笑顔で頷くと、

「おやすみ、カミュ。」

「ああ。おやすみ。」

「お邪魔しました」と礼儀はやはり欠かさずカミュの部屋を後にした。

今夜もミロは聖衣箱と対峙する。
何時もの様に手を触れる事もなく聖衣箱から蠍座の黄金聖衣が飛び出しミロの身を纏う。

「待たせたな、スコーピオン。」

ミロは自分が身に纏う聖衣に話しかける。

自分が通って来た道を覚えている。
自分達に起こった出来事を、自分が出会った人達を、思い出したと言うよりも当たり前にずっと覚えていた様な感覚であった。

ミロは上を見上げる。
背中でヘッドパーツの尻尾がカシャンと音を立てた。

天井があるのかないのか?壁があるのかないのか?床はどうなっているのか全く分からない程にどこ迄も漆黒に包まれている。

「ここがどこかは分からずのままか…。」

(それに、俺とカミュがあの様な事態に巻き込まれた理由も分からないままだ…。)

「カミュの所に行ってくる。お前はここでもう暫く待っていてくれ。」

ミロは聖衣を脱ぎ、カミュの元に向かう。

目を覚ましたミロは辺りを見回す。

(夜…?)

灯りを点け時計で時間を確認する。

(カミュの家から帰宅してから大して時間が経っていないのか?)

(行かないと。)

ミロは寝間着をを脱ぎ捨て手早く身支度を済ませカミュの元に向かった。

「なっ…!?は?何!?ミロ?え?」

「うわぁ!カミュ…!え?何して…!?あ…、お邪魔してます…。」

睡眠中のカミュがもし魘されでもすれば起こしてやろうと訳なく室内にお邪魔させてもらったミロは薄明かりの中起きているカミュと出会しお互いにびっくりした。

「お前…!どうやって…!?何をしに…!?」

驚愕おさまらずのカミュであったが、

「いや…。人智を越えた能力とやらなら可能なのだろう…。
…私を心配して来てくれたのか?」

「あ、うん。そう…。」

「心配かけてすまないな…。」

「そんな事は言いっこなし。
カミュ…寝ないと体に毒だよ?」

ミロはカミュが座る横に腰掛けながら言う。

「そうだな…。だが、眠るとまたあの暗闇の中に行くのだろう…。それならば、一層の事眠らずにいれば………。」

「ダメ!ちゃんと寝て。体壊したら困るだろう。」

カミュの言葉を遮りミロが言う。

ミロの言葉にカミュは何か言おうとしたがミロは口を出す隙を与えなかった。

「大丈夫。俺が付いてるから。」

きっぱりとミロは言いきった。

きっぱりと言いきるミロに、カミュは「一体その自信はどこからくるのか?」と少々呆れた感じでミロを見る。

「ん。」

ミロは座った状態で自分の太腿をポンポンて叩く。

「何だ…?」

「だから、ん!」

再びミロは自分の太腿を軽く叩く。

「頭。
ここに乗せて。」

「まさか………。」

「そのまさか。早く横になりたまえ。」





追憶12

2021/01/23

目を覚ましたミロは毎日決まったルーティンを繰り返す。
昨夜と同じくカミュの居場所に足を運ぶ。
カミュも昨夜と同様に自宅の玄関のドアの前でミロが来るのを待っていた。

「今日は飛ばされてなかったんだな。」

「お前は気付いてなかったのか?」

「うん、まぁ。置かれた世界の俺の生活なんてもう無意味な物だからな。」

「そうか…。お前にとってはそうかも知れんな。」

今夜もカミュに招き入れられミロは「お邪魔します。」と礼儀を欠かす事なく室内に上がる。

「その後はどうだ?」

「昨夜も前日と変わらずだな…。何も真実に近く収穫は無しだ。」

「そうか…。」

「カミュの方はどう?」

「私に何か飛ばされる以外に変化があると思うか?」

「そうだけど…。その…。」

ミロのお茶を濁す様な返答に、カミュは頭痛を我慢しているかの様な苦悶の表情に変わる。

「あの事か…。変わりなしだ。」

「………そう…。」

ミロはカミュのその言葉に表情が曇る。

「そんな悲しげな顔をするな…。
そんな…私の為に心から気にかけている事か分かる表情をされたら…、
私は………。」

「ごめん…カミュ…。カミュの方が辛いのに…。」

「そうではない…。
私の事を気にかけてくれる相手がいると思うと、………甘えを見せてしまいそうになる…。」

「そんな事…!良いんだよ!普通ならそんな事は起こらない様な平気なままでいられない様な事が自分の身に起きて!まだ何か情報的な物を記憶していた俺と違って、カミュは本当に何も分からない状態で!ずっと弱音も吐かないで頑張って耐えてきたんだから!甘えなんていくらでも見せて良いんだよ!
俺に言ってくれただろう!『お前に頼るしかない』って!
もっと頼ってくれ!頼ってくれて良いんだよ!甘えてくれて良いんだよ!」

ミロは机に両手を着いて立ち上がり身を乗り出してカミュに力説する。

「………ミロ…。」

「やっと、名前呼んでくれた。」

ミロは心の底から沸き上がる嬉しさに満ちた笑顔で満足そうにそう答えた。

自分に対してのミロの力説とミロの偽りのない笑顔にカミュは不可思議な状況になってから初めて癒された気持ちになる。

向かい合って座り会話していた二人は改めて隣り合って座り直すと、カミュがぽつぽつと話始める。

「例の場所にいた時だ…。ミロに我々にとって大事な場所だと聞いたから、何か分かるかも知れないと期待したのだが……、期待する気持ちとは裏腹に心がざわついてくるのだ…。」

ミロは黙って真剣な眼差しでカミュを見つめ話に耳を傾けている。

「何か少しでもおかしな状況から抜け出せる手立てを知りたいと思っているのに…、
知る事を拒否する自分がいるのだ…。」

「自分を知りたいと思う事を拒否するなんて…、
私は…、
…私には何か、何も知らずにいた方が良いとなる程の事が本来の私にはあると言うのだろうか…?そんな事を考えてしまい…、心の中がざわめき始め、言い知れぬ不安に駆られるのだ…。」

「カミュ…。」

「私は一体何者なんだ!?知らずにいた方が幸せである様な人物なのか!?いるべき世界にいてはいけない様な人物なのか!?」

カミュは両手で髪をわしづかんで頭を抱え取り乱す。
ブチブチと髪の毛が引き千切られる音が鳴る。

「カミュ!落ち着いて!」

カミュが自分の髪をわしづかむ両手を引き離し、ミロは両手でカミュの両手を包み込む。

「落ち着いて。」

ミロはカミュの顔をのぞきこむ様に自分の顔を近付け真っ直ぐにカミュの目を見る。

「落ち着いて。」

取り乱してカミュは静かになり、

「あ…ああ…すまない…。」

聞き取れるか聞き取れないか程の小さな声で言う。

「不安な事だらけで取り乱してしまうよな。当然だ。
でも、安心して。カミュは自分が疑心暗鬼になる様な人物では絶対にない。それは本当の本当に本当の事だから。絶対に!」

ミロは優しく落ち着いた声で言い聞かせる様にカミュに話しかけた。













追憶11

2021/01/23

(何でカミュの所には水瓶座の聖衣箱が無いんだ!?
何が違う…?何が…?
カミュの黄金聖闘士としての記憶か?
だとしたら、カミュには俺の様に薄らぼんやりとでも残ってなかったのは何故なんだ…?
しかし…。
今の小宇宙も高められる様になった俺自身も、肝心要のその記憶が薄らぼんやりとしてるのは何故なのか…?)

「やっぱり分からない事の方が多いな…。」

ミロはため息をつきぽつりと呟く。

「あの暗闇は…。いや、お前聞いても分からないのだったな…。
この話は忘れてくれ。」

「でも、あの場所は俺達にはとても大事な場所なんだと思う。だから、カミュがいた暗闇はカミュにとって凄く大事な場所だ。」

「私にとってとても大事な場所………。」

「そう!だから、次にまた………。」

ミロが話してる最中にカミュが口を挟む。

「私に必要な場所なのだとしたら………。
あの暗闇の中で言い知れぬ不安に駆られたのは何故なのだ………。」

「えっ…?」

(不安に駆られた…!?」

「それはきっと人間の本能で暗闇を恐れたって事なんじゃ………。」

ミロの言葉をカミュが遮る。

「そう言う人間の本能的な恐れとは違っていた。」

「………。」

「すまないが、私は明日もまた早い…。そろそろ寝ないと体が持たないだろうからな…。」

「ああ。うん。そうだな。遅くに長居をしてしまって…。そろそろ失礼しないとな。」

玄関先迄見送ってくれたカミュに挨拶をしカミュ宅を後にした。

帰宅したミロはカミュの言葉を思い返す。

(言い知れぬ不安って何なんだろうか…?)

(あの場所で何か分ければ良いんだけど…。)

ミロは目を閉じ眠りに就いた。

今夜もやはりミロはあの場所にいる。
昨日と変わらず蠍座の聖衣箱の中からカタカタと音が鳴る。

(昨日と変わりなしか…。
どうしてカミュはこの場所に言い知れぬ不安なんて感じるんだろうか…?寧ろカミュにはホーム的場所だと言うのに…。)


      






追憶10

2021/01/22

「そろそろ来るだろうと思っていた。」

「お♪どう言う心境の変化?」

「真面目に聞け。」

「うん。」

“今日の世界”でもカミュはやはり日中この街の住人として生活しているだろうと、ミロはやはり夜間にカミュの気配を探した。
カミュは“今度の自宅”の玄関前でミロを待っていた様だ。

「話は…ご近所の目もある。先ずは入れ。」

「お邪魔します。」

「適当にその辺に座れ。」

カミュとミロにとっての前夜の玄関先での話とは違い、カミュはミロを室内に招き入れてくれる。

「さっそくだが本題に入る。」

「うん。」

「この不可思議状況な今、不本意だが私よりも情報量の多いお前を頼りにするしかない。
…と言う事だ…。」

カミュは肘を着きながら不本意を強調しつつミロから視線をずらしてそう告げる。

(素直じゃないなぁ…。確かに昔はこんな感じだったけどさぁ。)

ミロはどうせカミュが怒るだろうと思い顔を伏せ、カミュから見えない様にクスリと笑う。

「そ、それでだ!何か分かった事はあるか!?」

カミュ曰く、「不本意な事」を口にした自分の照れ隠しか、声量が不自然に上がりミロに知りたい事を訊ねた。

「何か………。
カミュが知りたい様な事…は、何故こんな状況になってるか?だよな?
残念ながらそう言う事は全然分からないままだな…。」

「そうか…。」

「ごめんな…。」

「お前が謝る必要はない。お前も迷惑を被ってる側だろうに。」

「…うん。」

ミロは「ああ、カミュだな。」と思う様なカミュではあるが、何かが引っかかる様な感じがする。

「言わないと分からないから。」ミロがカミュにそう言っている場面が頭の中に浮かんだ。

(そう言う事もあったんだな…。俺達には…。)

「なぁ…、カミュ…。
杞憂かも知れないけど、もしかしたら何か…他にも俺に聞いてみたいと思ってる事ない?」

「………。何故そう思う?」

「う~ん…何となく?
直感的にそう思ったから…かな?」

「………。」

カミュの眉間に皺が寄る。

「気のせいならごめんだし、言いたくないなら言う必要ないし。」

ミロは弁解する様に少々慌てて言葉を継ぎ足す。

「聞きたい事…と言う訳ではないが…、
………いや。おそらく聞いてみるに越した事はないのだろう。」

「うん…。」

「昨晩、明日はまた飛ばされているのかまだこの世界のままかと思いながら就寝した時の事だ…。
そう言えば、お前と出会ってから飛ばされる迄の間隔が短くなっているな…?」

「ああ。そう言えばそうだな。最近は特に気にもしてなかったが、言われてみればそうだな。
また、俺の推測になるけど、簡単に言えばゴールが近付いてるから回り道してる暇が無いって事なんだと思う。」

「…ゴール…。」

「そう。」

「私はまだスタート地点にも立ててない様な状態なのにな…。」

「だから、俺がいるの!俺がカミュを連れ戻すの!」

「まぁ…、そう言う事なのであろうな…。」

「きっとそう!」

「うむ…。
話が逸れたな。
昨晩就寝して、今朝方ここで目覚める迄の間だ…。」

「うん…。何かあったの…?」

「夢…だったのか…かも知れないが、漆黒の暗闇に私はいた…。
夢…にしては目が覚めた時に実際に体験したかの様な感覚もあり…。」

「行ったのか!?」

「知っているのか?」

「そこに俺も起きる迄の間に行ってる!そこでだんだん本来の自分に戻っていってるんだ!」

「戻っていってる?」

「そう!暗闇の中に…、
カミュ!そこに何かなかった?金色に光ってる箱!」

「いや。何もない。延々の漆黒があるだけだった。」

「何で………?」













追憶9

2021/01/19

ほんの僅かな間の静寂、カミュが口を開く。

「些か私には常識を越えた情報量が多過ぎる…。頭の整理が必要だ。」

「うん。」

案外素直な反応がミロから返ってきた事にカミュは明らかに「予想外だ」と言いたげな表情になる。

「普通に考えて人知を越えた分からない事だらけだからな…。落ち着いて考えた方が良い。」

ミロはそう言うと踵を返しドアノブに手をかける。

「ああ…、そうだ…。お前、名前は?」

カミュからかけられた言葉にミロは振り返り真っ直ぐカミュの目を見、

「俺はミロだ。」

僅かに頷くカミュを見て、ミロはニコ…と笑顔を浮かべ、

「おやすみなさい。」

そう言うと、ドアを開きカミュの家を後にした。

疎らに輝きの強い星が点々と瞬く夜空の下、穏やかな表情をしたミロは、晴れやかな気持ちで誰の目にも追えぬ速さでその場から立ち去った。

やはり今夜もミロは静かに佇む聖衣箱と対峙する。
そっと箱に手を添える。カタカタと硬い何かが動く音が中から聞こえる。
だが、まだ実物を目にした事がない「あの蠍座のミロ」が纏っていた聖衣が姿を現す事事はなかった。

「そうだな。まだ少し足りないよな。
お前が待っていてくれてるのは分かっている。伝わってくるぞ。
いや…、俺がそれを感じ取れる様になれたと言う事か。
お前が認めてくれないのでは無く、俺が納得してないからだな。
もう少し待っていてくれ。」

ミロは聖衣箱に手を添えたまま小宇宙を高める。
黄金の輝きがミロを覆う様に立ち上る。

小宇宙を鎮め聖衣箱から手を離す。

「行ってくる。」

聖衣箱に一言告げ踵を返す。

あの場所から離れたミロは翌朝を迎える。
目を覚ましたミロは上体を起こし確認する様に右手の人差し指を目の前にかかげる。
紅に染まった爪が長く伸びる。

それを見届けたミロは爪を鎮めベッドから降りる。
もう目覚めた先がどこなのか等気にもならない。

「俺の大事な人を迎えに行かないとな。」










追憶8

2021/01/18

「お邪魔します。」

ミロはカミュが先に入った部屋のドアを夜分な事もあり静かに閉める。控えめな音が静かに鳴った。

「単刀直入に聞く。お前の人間離れした身体能力は何なんだ?」

「え…いきなり過ぎ…。まだドア閉めたばっかり…。」

「単刀直入に聞くと言っただろう。」

「………。分かった。…でもさ、今のカミュが聞いても理解出来ないと思うけど…。」

「そうか。理解出来ない事だから気にするだけ無駄か。ならば、この不可思議な現象をそう言う物だと受け入れ生きていく。私はこのままでも平気だ。お前だけ『本来ならいる筈の場所』とやらに戻れる様に暗中模索すれば良い。」

「ちょっ…え?は?あのさぁ!…フーッ…。常にクールってレベルじゃないだろ…。
分かった。話せば良いんだろ。」

「うむ。」

「俺にもよく分からないんだけど、その本来なら俺達がいる筈の場所での俺達は何かこう…よく分かんないけど、兎に角、人間離れした身体能力を持ってて…、え~………、金色の鎧みたいなの着て、何かよく分かんないけど不思議な能力?を持ってて闘ってるみたい。」

「何なんだ、それは…?」

「だから、俺にもよく分からないんだって!」

「嘘…ではなさそうだな…。それならば、私と違いお前はその妙な記憶と共にその人間離れした力も持ってこの現状に置かれているのか。」

「いや…。はっきりとは分からないぼんやりとした…頭の中にビジョンが浮かぶって言うの…?多分記憶なんだろうって直感でそう思った感じ…。
それで、カミュと出会ってから徐々にその本来の姿…だと思うそれに、覚醒したって言うのかな?近付いていってるって事だと思う。
まぁ…、全部俺の直感的推測ではあるがな。」

「頭が痛くなってきた…。」

「だから、理解出来ないと思うって言ったのに…。」

「ハァ…。
それでだ。お前がその妙な本来の姿とやらに覚醒するのに何故私が関係している?お前の直感とやらに付き合わされ、2度も不本意な戯れを受けた必要がある!?」

「だって、そのぼんやりとしたビジョンの中にカミュもいたんだもん。」

「見上げる様に見えてる、今のカミュよりもっと若い…まだ子供のカミュもいたし!俺の事物凄く、強引な位に好きでいてくれるカミュもいたんだもん!」

ミロは自分の中で1番重要な事だと思っている記憶を伝える火を切ると感情が溢れ、子供の様に早口で捲し立てる。
何に対してか自分でも分からない悔しさの様な感情が込み上げ自然と目に涙を溜めて顔を伏せながら奥歯を噛み締め拳を握る。

「………。」

カミュはそんなミロの年齢不相応な姿に困惑し無言になる。

「それに、カミュと出会ってから覚醒したみたいになった!カミュが思い出してくれたら全部上手くいくって思った!カミュが思い出してくれる様に俺が忘れてる力を取り戻したら助けられると思った!でも、上手くいかなかった!
足らないんだよ!カミュが!カミュがいてこそ俺が成り立つの!」

伏せていた顔をバッと上げ一気に捲し立てると、ふるふると小刻みに唇を震わせながらカミュをキッと涙を溜めた目で見つめる。

真っ直ぐに自分を見続けるミロに根負けしたかの様に、カミュは目を閉じ鼻から息をため息の様に吐くと、

「そうか…。」

短くそう一言だけ言葉を発する。

一気に捲し立てた時の感情の起伏はおさまり、落ち着いて何かを考えているカミュを黙って見つめる。



追憶7

2021/01/17

再びカミュと接触出来たミロはその日もまた暗闇に佇む本来自分が纏うべき聖衣箱と対峙する。
触れてみても聖衣箱は変わらず静かに佇んでいる。

(小宇宙を感じるってどうやるんだっけ…?
小宇宙を燃やすってどうやるんだっけ…?)

分からない…。
分からないが、「要は小宇宙です」と言われる存在は思い出している。

分からないなりに只頭と心の中で強く念じてみる。
右手の指先に集中する様に力を入れてみる。

「フーッ…。」

集中する力を抜きため息をつく。

ミロは聖衣箱の傍らに座り体を凭れかける。
何も考えずに体の力を抜き体は預け目を閉じる。

普通ならば落ち着かない硬い感触に妙に安らぎを感じ、穏やかな気持ちのまま凭れ続ける。
穏やかな気持ちで安らぎを感じると微睡みに落ちやすい。

目を覚ましたミロは勿論聖衣箱に身を預けてなどいない。
あの場所の事は夢か現か分からない。
分からないが現ではないのであろう。
だが、ミロが目を覚ましたこの場所も本当の現では無い事も理解していた。

目が覚めた時に自分が置かれている世界でカミュの気配を探るの事はもう動作も無い様になっている。

(またこの時代でのカミュが置かれた立場での生活があるだろうからな。日中は大人しく待っていようか。)

時間潰しにまた時代が変化しただけだと分かる同じ街をフラフラとしながらカミュが帰路に着くであろう夜を大人しく待つ。

「お疲れ♪」

この街での1日を終え様とするカミュの前に現れる。

「………。やはり来たのか…。」

また警戒され攻撃的な態度を取られるかと思っていたミロは、カミュの発した言葉が予想外で少々驚いた。

「歓迎はされていないみたいだけど、突っぱねられなくて良かった。」

ミロは笑顔で応える。

「当たり前だ。お前が怪しいと思っている事には変わりはない。歓迎などする訳が無かろう。」  
     
「それって酷くない?」

予想外で嬉しく思う事を素直に言葉にしたが、予想通りの相変も変わらず警戒を解かない返答に冗談混じりで反応してみる。

「理解し難い状態に置かれそれを共用出来る者がいると言うならば、そいつから情報を引き出す方が現実的だろう。」

「成る程。その考えには同意だな。」

ミロの肯定的な態度を確認し、

「赤裸に答えろ。一体何が起こっている?」

「何が起こってるかは俺にも分からない。
俺が分かる事は俺もカミュも本来ならいる筈の場所にいないって事。
この年齢になる迄に過ごしてきている筈の記憶は全く無くて、突然さも生まれてからずっと過ごしてきたのが当然の様な人物として自分を取り巻く環境や人間関係も形成されている。
何故かそれも数日程で置かれていた何年も先に、自分自身は自分のままなのにまたさっき言った様な同じ状態になっているって事。
それから、何年も先に置かれる前に過ごしていた数日分の記憶はしっかり覚えていて、その数日前に一緒に過ごしていた人物が歳を重ねている事を知って、その事に気が付いた。
そんな感じ。」

「私と同じだ…。
しかしだ!何故お前は私の事を知っている!?
『本来ならいる筈の場所』だと!?どこだと言うのだ!?何故お前には分かる!?」

「そんなの俺にも分からないよ!
その変なループ的な事が起こる前に、成長過程の記憶は無いのに何か不思議なよく分からない記憶を持ってた!だから、本来ならいる筈の場所なんじゃないかと思っただけだ!」

二人して声を荒げたせいか、たまに通る疎らな通行人が振り返ったり連れの者とひそひそ話をしている。

「チッ…。
…仕方がない…。ちょっと着いてこい。」

「どこに…?」

「私の家だ。いくら何れ違う状況に置かれるとは言え話の内容が内容だ…。周りの人間に妙な噂は立てられたくはない。
まだ聞きたい事は有る。
だが、妙な気は起こすな。」

疎らとは言え、通行人の目に気付いたカミュは舌打ちをし場所を変える事にする。

「分かった。
けど、それはカミュ次第って事になるかも…。」

「ふざけるな!」

カミュはミロを連れ立って歩き出した。





                                                    









本っっっっっっ当~~~~に!久しぶりにお話書くから、参考迄に過去作読んだらワロタ(笑)
自分が書いたやつを自分で読んで笑うて自画自賛になってしまうが💦💦
ワロタ(笑)

パートタイマー救世主とかマジで何なの?バカ過ぎてワロタ(笑)

笑っただけじゃないよ
氷の王滅茶苦茶格好良いな!オイ!
何時からカミュさんはあんな感じになってしまったんだよ(笑)
良いんだよ!カミュさんはどんなカミュさんでも地が格好良いから!見た目も格好良いから!

追憶6

2021/01/15

(ふぅん…。)

夢か現か分からない暗闇で起きた事から、これも現実とは言えないかも知れない現に意識が戻る。

(またカミュと会った時に置かれた時とは違うみたいだな。)

もうそんな事は気にかける必要も無いとミロは割りきれる様になった。

「さて…。」

カミュはどこにいるのか?それだけに集中し体を起こす。

(見つけた♪)

ミロは誰の目にも止まる事無くカミュの元迄移動する。

「こんばんは♪」

夜の人の気配か全くしない公園のベンチで両掌を組んだ拳に顎を乗せ考え込む様に座るカミュに声をかける。

人の気配が全くしないのに急に声をかけられカミュはビクッと体を振るわせる。

「…!お前は…!」

「覚えててくれたんだ。嬉しいな。」

ミロはその反応に素直に顔を綻ばせる。

ミロがそう答えるが早いかカミュがミロの胸ぐらを掴む。

「貴様!一体何が目的だ…!」

胸ぐらを掴まれ責める様な事に声を荒げられても平然とした態度でカミュに言葉を返す。

「ちょっと言ってる事が分からないんだが…?俺が何かした?」

ミロの返答に怒りの籠った目付きになり、

「『何かした?』だと!?知らばっくれるな!!
目覚めれば眠りに就く前と違う世界にいて!お前の事だけは記憶に有る!
それでお前が人間とは思えない様な現れ方で私の前に現れる!!お前以外に誰がいる!!」

カミュは怒りをぶちまける。

「え…?カミュもそうなのか?ちゃんと違う世界に飛ばされる前の事を覚えてるんだ。」

「まだ知らばっくれるか!!」

「ちょっと…落ち着けよカミュ。常にクールでいないと…。」

ミロの胸ぐらを掴む力が更に強く何なる。

「悪いんだけど、俺にも分からないんだよな。俺もカミュと一緒で起きたら違う時代で違う立場で生活するはめになってるから…。」

「そんな言葉が通用すると思っているのか!?私はお前の事を知らないのにお前は私の事を知っている!人間には出来ない現れ方をする!お前を疑うのは当然だ!!」

「う~ん…、カミュの言う事も最もなんだけど、本当に俺にも分からないんだよね…。
人間離れしたこの力は………。
…カミュは…何も覚えてないのか?」

「何をだ!!」

カミュが胸ぐらを掴む両手を軽くほどき離させ、

「………そっか………。」

そう呟きながらベンチに腰かける。

胸ぐらを力いっぱい掴んでいた両手をほどかれ面食らうカミュ。
ボーッとした様にベンチに腰かけるミロの動きを見つめる。

「俺にも何がなんだか分からないけど…。少なくともこの状況から抜け出すのは…、カミュを救い出してあげられるのは、…俺の方なんだとは思う…ん、だよな。」

ミロの言う事がさっぱり理解出来ないカミュは黙って呟くミロを見ている。

「でもな、俺にもまだ無理だと思う。」

「どう言う事だ…?」

「足らないんだ。」

「何がだ!?やはり貴様何か知っているんだろ!?」

自分の知らない事を知っていそうな口振りにカミュのミロへの疑いは拭いきれない。

「だから、頂戴?足らないカミュの成分。」

「何の事だ!?」

「今のカミュに言っても伝わらないよな…。
そう言うの…あんまり好きじゃないんだけどな…。」

「でも…、カミュはそう言う所あったしな。」

ミロがベンチから立ち上がる。

ミロが動いた事にカミュは警戒心を強める。
急に一方的に一瞬とは言えキスをされた記憶はある。
あの後その時にミロが言った様に、後から頭が追い付き何が起こったか把握し腹を立てた。
そして、カミュに起こる不可解な出来事も相まってミロに対して疑念と怒りを覚える様になっている。

「今回は何時ものお返しって事で…さ。」

「な…何の事だ…。」

ニッと口角を上げたミロの表情にムカつきに似た腹立たしさが込み上げたが、それと同時に言葉に表情出来ぬ妖しさも感じられ、ずいっと近付くミロにカミュは思わずたじろぐ…。

全く自分でも分からぬ間に両頬を包み込まれ舌で口内を掻き回されていた。
一方的なその動きに唾液が溢れ顎を伝う。
ミロは溢れた唾液を拭う様にカミュの口内を翻弄した舌を抜く。
何の躊躇いも無くミロの口内に溢れた唾液を嚥下する。

スッと離れ唾液でぬらぬらと光る口角を上げ、

「少しは足しになったと思う。」

そう言うと、

「待っててね、カミュ。」

そう言い残しサッと姿を消した。

残されたカミュは奥歯を噛みしめながら口元を袖口で拭った。




追憶5

2021/01/15

スタッと音も無く紅い髪の人物の目の前に舞い降りる。

「な………!急に……どこから……お前!」

急に目の前に人が表れ驚きを隠せず文にならない言葉を並べる。

周りの者達には目で追える速さでない為に逆に不自然さを感じる事も無く平然と各々の目的地に向かう歩みを止める者はいなかった。

「こんにちは。
どこからって聞かれたら…、カミュの記憶の中から…かな?」

「何をふざけた事を………。」

「何が目的だ………?」

「あれ?もしかして俺の事知ってる感じ?」

「お前の事なぞ知らん。」

「知らないのに『何が目的か?』なんて思うんだ。」

「………。知らん………。
知らんが…お前の容姿の奴を不快に思った事だけ覚えている…。」

「『覚えている』…?」

「…くっ…。
…何故お前に詳しく話す必要がある。」

(何時か見た事ある様な表情と言い方だなぁ♪)

「そうか…。」

カミュは目の前の前の人物を睨み付ける目付きを緩めない。

「でも、接触した時の事は記憶に残るんだ。そっか…。」

「何…だ?」

目の前の人物のカミュにとっては意味不明な発言に警戒を強める。

カミュの警戒するベクトルの向きの予想を裏切ってミロはカミュの両頬を包み込むと口付け唇を離す。

戸惑う暇など無い位の速さの一瞬の出来事。

「!?」

動きを把握する事の出来ぬ速さ故に当のカミュにも何が起こったのか分かっていない様だ。

「思い出して。
後で何があったか思い出して、悔しがって怒れば良いよ。
憎悪でも良い…。カミュの感情を俺に向けて。俺の事を考えて。」

ミロはそう言い残すと去って行った。
カミュには目で追え無い速さで、一瞬に目の前から消えた様に思わせて。

(な…何が起こった…?)

帰宅したミロはベッドに身を投げ出し天井を見つめ、カミュの唇に触れた感触を確かめる様に人差し指で唇に触れる。
少し意識してみたが指先は何の変化も見せずに唇に触れたままである。

(まだ…か。)

何時の間に眠りに落ちたのだろう。
夢か現か暗闇の中で立っている。目を凝らしてても何も見えず、周りに何の気配も感じられない。
暫く立ち尽くしていると何かが有る様な気配を感じる。
そちらに向かって足を進めてみると、蠍が描かれた黄金の箱の様な物を見つける。

「…………。」

無言で暫し見つめ、そっと手でその黄金の箱に触れてみる。
箱は何も変わらずただそこに静かに佇んでいる。

(そう………。)

箱に触れた手を離すと、箱の側に腰を下ろす。

「触れる事は出来るのか。」

(触れる事は許してくれるのか…。
でも、まだ完全に認めてはくれんのか。
そうか…。足らないのか…。)

ニッと口角を上げる。

(カミュに思い出してもらわないとな。)









コメント頂くと滅茶苦茶嬉しいですねぇ(*´ω`*)♪

最後にまたごちゃごちゃ言い訳しますからその時に詳しく言いますので、まだ今あげれてる分では意味不明だと思います(^o^;)

追憶4

2021/01/13

またどんな所に自分はやって来たのかを見ようと出かける事にする。

全く見た事が無い街並み。
フラフラとしていると、何時か見た記憶がある…だが、その記憶とは似ても似つかない程に朽ちている建物も見かける。

(また時だけ過ぎた同じ街なのか。)

今度の自分はどんな環境に身を置く者になっているのか…?
その様に考えられる余裕が持てる位にミロは慣れ落ち着いてしまった様だ。 

「あ…。」

段々と建物が減り緩やかな傾斜のある道に出る。

(ここは確か…。)

その傾斜のある道を進むと、代々そこに昔から住んでいるのだろう割合裕福層の大きな家が建ち並ぶ落ち着いた静かな住宅地。
覚えている記憶とそう大きな違いの無い景観が見上げる先に広がっている。

その傾斜のある道を進む途中、見上げる先にある住宅街に向かう道とは違う道に入る。
こちらの道も緩やかな傾斜が続き徐々に緑が増える。
この道を進むと足元に広がる街並みを一望出来る緑が豊かな小高い丘に出る。
進むにつれ頂上近くに建つ教会の屋根が目の前の緑の上に顔を出す。
途中教会の墓地の入り口近くに数人の人影が見える。
当然ながら静かな声量で話していてこちらには会話の内容等聞こえない。
筈なのだが、真横を通った訳でも無いのにその人達が話している事が聞こえてくる。

○○さん今日はありがとうございました…
××君気を落とさないでな…、□□もこんな沢山の人達に云々…
△△も○○君に来てもらえて云々…

よくある故人と旧知の中の人が参列してくれた時の会話の様だ。
だが、ミロはその名前を聞いてドキリとする。

(姓が□□で名前が△△って…!?
○○ってまさか…!?)

ミロが思い浮かべた人物と今の会話の人物が同一人物だと確定してる訳では無い。
だが、ミロは自分でも分からない人知を越えた直感で間違いないと確信した。

抑え切れない衝動に駆られ頂上迄の道を一気に駆け上がる。

長い登り坂を一気に走って来たにもかかわらず息一つあがらず心臓の鼓動も普段と変わらない。
そんな事等気にもならない位の沸き上がる感情のまま速度を緩めず勢いよくコンクリートでできた柵を掴む。

先程耳にした名前の人物…。
このミロにとっては先日お爺さんと会話していたミロの仲の良い同僚の名前…。
その名前を口にした老人の名前も同じく仲の良い同僚の名前…。

またあの時からかなりの年月が過ぎていた様だ。
それよりも、全く中身の充実した記憶などないと言うのに、仲の良い学友達との別れの悲しみ、仲の良い同僚達との別れの悲しみ。
人物にはそんな記憶など全くないと言うのに長く仲良く過ごした楽しかった日々が物凄く遠く感じられ、二度と手に入らない胸にぽっかりと穴が空いた様な寂しさが一気に重くのしかかって来た様にたった一人の人間にはとても受け止められぬ大きさで落ちてきた。

哀と苦一色と言える様な感情が、何十年分と言う思い出二人分の大きさで一気に入って来たミロは人として壊れてしまいそうになり、耐え難い心の苦痛のあまりコンクリートの柵をつかんだ手に力を込める。

(帰りたい…帰りたい…楽しかったあの頃に…帰りたい…)

力を込めた手が、まるで柔らかな綿の塊から一握りの綿をもぎ取るかの様にいとも簡単に頑丈なコンクリートの柵を握り潰した。

(!?)

そのたった今起こった現状に驚きのあまり、我に返った様に落ち着きを取り戻す。

(違う………。)

(違う。)

(俺が本当に帰る所はそこじゃない。)

直感。
何の根拠も無い。
あくまでも只の直感。

そう確信したミロは急に紅い髪の人物の気配を感じる。
勿論近くにいる訳はない。
だが、自分がいる小高い丘の頂上からはるか遠方、普通の人間には目視できぬ位はるか遠方に紅い髪の人物の姿を見つける。

その瞬間、1等星が妖しく紅く輝く15の星からなる星座に象られた何かが浮かび上がり、目には見えないその星座を象った物がミロの中に入ってきた様な感覚を覚える。

戸惑う事無く柵を飛び越え、ありえない程はるか遠方にいる人物の前に向かって飛び降りる。






追憶3

2021/01/12

それでも、姿を見つけられなくても感じたカミュの気配を全身で受け止める様に両手を広げる。

全身で感じるカミュの気配。

(次は必ず見つけ出してみせる。)
 
そう思った事が希望的決心の様な気持ちになり、随分と遠く迄徒歩で来たその距離を疲労を全く感じないどころかより力が湧いた様に意気揚々と足取り軽く帰路に着いた。

そんな事があったまたまた後日、先日話しかけられた年老いた嘗ての学友とまた顔を会わせた。

このお爺さんは全くその様な話はしていない。
だが、そのお爺さんの長年内に積み重なれた記憶が感じられる。
彼以外に他にもいた嘗ての学友達…先に逝った者達も中にはいた様だ…。

今のミロではない時のミロの学友達と楽しく送っていた時の記憶……。
その学友達の随分前の出来事である訃報…。
ミロの中でざわざわとした気持ちが沸き上がり、自分でも全く意識せずに一筋な涙が頬を伝う。

「どうしたんだ?ミロ君…」

目の前のお爺さんがびっくりして訊ねる。

「あれ…?何でしょうね…?目にゴミでも入ったかな…?…そろそろ失礼しますね」

手の甲で頬をすっと拭い、笑顔でその場を後にする。

自宅に戻ったミロはどさりと体をベッドに投げ出し天井を見つめる。
学友達との楽しく過ごした時の事を思い出す。
それから後の事は全く記憶に無い。
だが、既にこの世にはいない…。
悲しいと言うよりも何か掴み取れない漠然とした虚しさを感じる。
蠍座の黄金聖闘士であった時の記憶を思う。先に逝った者達は数多くいる…、
だが、はっきりとせずふわふわした様な記憶には感情が付いて来ない。
それもまた理解の出来ない事となり釈然としない虚しさに包まれる。
その体勢のまま何時しか眠りに就いた様だ…。

目が覚める。ベッドに仰向けのまま開いた目に入って来た景色は眠りに就く前に見ていた天井とは違っていた。
あの時に何時しか眠りに就き目覚めたのはあの時の翌朝では無い様だ。

やはり理解が追い付かない不思議な事だとは思うが、あの時の様な戸惑いは無い。
確認する様にその見覚えの無い部屋に備えられた鏡を覗き込む。
やはり変わらぬ風貌の二十歳のミロだ。蠍座の黄金聖闘士のミロと一寸の違いもない姿のミロである。

自分の姿を確認したミロはドサッとベッドに腰掛ける。
チラリと都合良くサイドテーブルに置かれたデジタルカレンダーに目をやる。

「それにしても…。」

鼻で笑う様なトーンでボソリと呟く。

初めて全く記憶を持たずに気が付けばここにいたミロの次はそのミロの孫と言う立場になっていた…。なのに、カレンダーを確認すればそんな人一人が生涯の幕を終える歳になる程月日が過ぎていない…。

理解し難い不思議な事だとは思うが、最初から謎過ぎて考えるだけ無駄だと諦めている。

ふと視界に入ったベッドに座った足に自然に置かれた右腕に目をやる。
自然な体勢で座った足に置かれた腕だ。特に力を入れている訳ではないのだから指先もダラリと力無く自然に指の関節も自然に曲がって垂らされている。
人差し指にやや力を入れてみる。何とは無しに特に意味も無く…。
ピッと真っ直ぐ他の指より少し上がった人差し指を見つめる。
僅かな間で我に返った様に

「指がどうしたって言うんだよ…。」

ぽつりと呟く。

(?)

何か直感的に自分と違う者の精神を内側に感じた…。

(何だ…?)






追憶2

2021/01/11

「カミュ」と名前を呼ばれた紅い髪の人物は怪訝そうな表情で、だが射る様な鋭い目付きで名前を呼んだ彼を見る。

「誰…だ?貴様…。」

(ヤバ…)

そう思ったが後の祭りだ。
彼は焦って取り繕うとしたが、住む世界は違えど内なる小宇宙も自分で感じる事が出来なくても、記憶にある己の姿。
誇り高き黄金聖闘士。
カミュの射る様な眼差しに臆する事無く落ち着いた表情と声で話し始める。

「俺の名前は…ミロ。…カミュは覚えていないみたいだけど、俺達はお互いによく見知った間柄だ………った。」

今のカミュの事を思えば「間柄だ。」とは断定的に言わない方が良いだろう。

「訳が分からんな。」

カミュは吐き捨てる様にそう言うと、ミロに背を向け去って行った。

(まぁ…そうだろうな。)

当然の反応だろう。だが、記憶だけの相手と現実に出会えた事には必ず意味がある。そうミロは確信していた。

ミロとカミュが出会って数日の後の事。

「カミュって…金髪の巻き毛の人が好み…とか?」

「はぁ?何の事だ?」

ミロと同じく、カミュもまた年相応に学生生活を送っていた様だ。

「最近さぁ、そう言う感じの風貌の人がいたら結構見たりしてるけど?』

「何を馬鹿な…。」

自分では全く無自覚だった。
学友にそう言われても、先日会った変な奴を無意識に警戒しているだけだろうと大して気にもしなかった。
が…、何か引っかかる様な、頭の中でハッキリしない何かがある様な気はする様になり始めていた。

カミュと出会った日から数日、あの日以降カミュを見かける事は無かった。
が、ミロの中で記憶の中の人物…、本来のミロであるべき姿が少しずつふわふわとした感じの物から立体的な物に感じられる様になっていた。
夜を迎え、ベッドに横になり目を閉じると、霞がかった様な薄らぼんやりとしたカミュや仲間達と過ごしたであろう記憶が手を伸ばせば掴める様な間近で浮かんでいる様に感じられ、ありえないな…と思いながらも手を伸ばし掴む様に動かしてみる。

勿論何も掴めなかった。

だが、自分の周りの空気が弾けた様な違和感を覚え目を開けてみる。

(どこ………ここ…?)

先程迄学生生活を送る毎日を過ごしていた自宅ではない…。

見回してみても全く見覚えのない、見知らぬ部屋のベッドの上で横になっている。

(何だ…?これ…?)

全く状況が掴めない中突如甲高い音がピピピピピピと鳴り響く。
急な音に身をビクッと縮こませ、音が鳴る方へ顔を向ける。

携帯のアラーム音。
何時セットしたのか?自分の持ち物なのかも分からない。

のっそりと起き上がり、隙間から光の差すカーテンを開けてみる。
途端に部屋が明るくなり、光に慣れていない目を閉じる。

うっすらとゆっくり目を開け改めて周りを見回す。
鏡に写る自分の姿を見つめる。
先程迄学生生活を送っていたミロの姿と何ら変わりはない。
記憶の中の蠍座の黄金聖闘士の姿とも寸分の違いもない。

(一体何なんだ…?)

訳が分からないが先程自分を驚かせたアラームを響かせた携帯を持ち外に出てみる。

見覚えのある、だが、自分が知っているそれとは似ても似つかない古びた建物
や全く記憶にない見知らぬ街並み。

「おや、ミロ君。おはよう。」

不意に見知らぬ老人に声をかけられる。

(誰だ…?) 

「今日は休みかい?」

親しげに話しかけてくる老人。
その老人の全く理解出来ない話の内容。その内容を聞いている内に小さな欠片が集まり一つの物となる様に理解出来ていく。だが、理解は出来ても何の事だかサッパリ分からない。
だが、まるで優れた第六感が急に身に付いた様に直感する。

(このお爺さん…俺の友達だ!)

ミロが毎日キャンパスで生活を共にしていた学友の一人の様だ。

卒業後地元に帰ったあのミロの孫が学生生活を送った街に一人で住んでいる。
老人の話から理解するにそう言う事らしい。
だが、風貌や名前が全く一緒と言う疑問は更々無いらしく、この老人の中の嘗てのミロは自分とは全くの別人であるかの様に話している。

(どう言う事だ…?
それに…、急に身に付いた様な優れた第六感は一体…?)

頭の中で欠片が集まり一つの物を形取った物が全貌が表れる前に輪郭が歪み、それが何であるか分からない様な物に変わる。

話の長い老人との話を切り上げ、自分が生活していた頃よりも新しく変わった街並みを見て回る。
交通機関を使わなければとても徒歩では行けない様な距離も歩いて回る。

(全然疲れないんだけど…。一体全体何がどうなって…?)

!?

(何だろう…?この感覚…?)

突然頭の中に浮かぶ紅の髪の人物の姿。
自分の周りにその姿をした者はいない。
なのに…、カミュがまるで近くにいる様な気配を感じられる。

何がどうなっているのか?
だからと言ってカミュの姿を見つけられる訳では無い…。






                 

追憶1

2021/01/11

キャハハと幸せそうな声をあげ隣にいる人物にしがみつく可愛らしい女性と幸せそうな表情をした一組の男女とすれ違う。
特に意識はせずに微笑ましく思いすれ違った男女の後ろ姿を振り返る。
そのまま足を止め暖かな光を注ぐ太陽を見上げる。

(俺の相手はどこにいるのかなぁ…)

僅かな時間だけで見上げた顔を正面に向け、日の光を受け輝く金の髪をふわりとさせまた向かっていた方向に歩き始める。

帰宅したその人物は壁に掛けられたカレンダーをチラリと見る。

(俺が生まれ育った西暦と全然違う…。)

自分が二十歳である今迄の記憶が全く無い…。
自分を産み育ててくれたであろう両親や家族の記憶が全く無い。
 
自分が持っている記憶はギリシャの太陽の下、幼い自分がなついていた青い髪の少年
ーサガー

蠍座の黄金聖衣を身にまとい、蠍座の黄金聖闘士として生きて闘い抜き最後に正義の為に仲間達と散った記憶。

それから、気が付けばここにいた、
最後に散った時の年齢で、それ迄の成長の日々の記憶を全く持たずにここにいた、

不思議に思いながらも、特に不便も無く何時から交流があるのか全く知らない学友と楽しい一時を過ごす大学生として生活している。

彼が帰宅し、やはり不思議に思っていた日とはまた別の日。
学友達と講義の後遊びに出かけ、楽しんだ後皆と別れ帰路に着いていたその時

自分の記憶にある見間違える筈の無い人物を見かけた。
間違える筈が無い!こんなに綺麗な紅が他の誰にあろうか!

そう確信する彼は躊躇い無くその人物に近付く。

「こんばんは。」

彼に声をかけられた人物は、紅の髪をさらりと流れさせながら明らかに不信に思う表情を張り付けながら彼の方に振り向く。

「何だ…?」

声のトーンから明らかに不信感を持っている事が分かる。

振り返えった人物は彼の姿を見ても不信感を持った表情を張り付けたままであった。

「ん~…『何だ?』と聞かれたら…ん、まぁ…ナンパ?」

嘗て幾度と無く彼の目の前に立つ人物に見せてきたであろう親しみに溢れた笑顔で応える。
だが、目の前の人物は表情は崩さず眉をピクリと一瞬しならせ不愉快な気持ちを表す。

(な~んか…子供の時に見た事ある表情だし…)

幼い金のモフモフが初めて紅の持ち主と会った時にされた表情を思い出す。

「そんなに怒った顔しないでくれない?」

「人を不愉快にさせて怒るなとはな。」

(はるかむか~しに聞いた事ある台詞だなぁ♪本当は見た目からは想像出来ない位に変な奴のくせに♪)

あまりにも素っ気ない態度だが、彼にとっては間違い無く記憶にある紅の人物であると確信し思わず口角が上がる。

口角が上がる理由が分からない目の前の人物は気分を損ねたのであろう、踵を返し立ち去ろうとする。

「あ!ちょっと!待ってよ!カミュ!」

彼の中には記憶があっても、記憶の中の紅の持ち主と同一人物であろう目の前の人物は自分の事を知らない…。
知らないどころか彼に不信感を抱き不愉快に思っている。
そんな相手の名前を口にすれば更に不信感が増すだろう。
だから、そんな簡単に彼の人物の名前を口に出そうとは微塵も思っていなかったが、全く取り付く島も無いまま去ろうとする彼の人物に慌てて思わず口に出してしまった…。




記事を遡ったらもう5年も前の事みたいですが…
Twitterで相互さんとお話してたらまたやりたくなって手放したジルオールインフィニットプラスを再度購入して、年末年始に遊んでた訳なんですよ。
5年前には遊べる時間の問題も有り周回出来ず、仲間に出来ないPS版の時から最推しのレムオンEDを目指すも上手くいかず…それでもレムオン兄さんと♀PCってカミュミロかサガミロになりそう♪って妄想してた訳ですが、今回!晴れてレムオン兄さんEDを見れた訳なんですが!
マジでカミュミロ!…かサガミロだよ!
余は満足じゃ(*´ω`*)♪♪♪
物凄クールな美人系イケメンさんが徐々にラブして最後めっちゃヤンデレ!
クールな美人さんがお前に依存しまくり甘えまくり手放せないになる
お前が嫌がっても明けぬ夜に閉じ込める事になっても離さないってね!
相手が不幸になっても離してあげられないってヤバさ!
いやんもう!
めっちゃカミュミロ!!若しくはサガミロ妄想捗りまくり!!
まだカミュさんが記憶喪失なカミュミロ書けてないけどヤバいヤバいヤバい!!
あー!!そっか!!ワーネバ風PCだけが過去の記憶も持ち続け記憶が無いカミュさんラブなミロさんにこのヤンデレヤバ過ぎレムオン兄さん要素入れたラストカミュさんにしたら良いんやん!!
やった!!ジルオール2周目やりながらやけど…書くぞ!!
スマホが悲鳴上げても書くぞ!!
 
何か文字の大きさミスってるな↑(^o^;)
プロフィール

尾羽っSUN

Author:尾羽っSUN
オバハンが言いたいけど他で言えないって事をほざいてます。
主に腐話。主に聖闘士星矢。主に脳内妄想。
カミュミロが主のミロ受けがメインです。
他にはぶちまけたい愚痴とか、大好きなゲームの話題とかetc.

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