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カミュミロ降臨りて来た。

2015/06/24

美しい自然が溢れ、人の手が付けられていない、それでいて夏場にはそこそこの身分のご高齢のご夫婦が避暑に訪れる様な、不便な山中等とは言い難い、人気の余り見られない様な取って置きの穴場と言える様な土地。城戸家だから用意出来たと言っても過言では無い、そんな場所にミロは身を置いていた。
都会の雑踏の方が刺激が有り早く記憶を取り戻す事が出来るのではないか?とか、人混みに溢れている方が紛れるには良いのにないか?などの意見も有ったが、何せ、ミロの風貌だ。人混みの中では反って目立つだろうとか、聖域育ちのミロに都会で生活させるのはどうかと、過保護な意見が声高に出た為で有る。

毎日、何をするでも無く日永一日、のんびりと過ごしていた。宛も無いがプラプラと、近所の自然の中をプラプラと散歩しては帰宅する。そう言う暮らしであった。
そんな毎日を過ごしていたが、その日は違う出来事が有ったのだ。
プラプラと散歩して帰宅すると、遠目でも目を惹く位の鮮やかな紅が、自分が寝泊まりする家の玄関先に有ったからだ。
状況に頭が追い付かずに、ミロは思わず足を止める。離れた所から、時折、風に靡いて揺れるその紅の流れる様をボーっと目で追う。家に帰れずにいて、どうしようかと困惑しながら。

小宇宙を感じる事が出来なくとも、人の気配を察知する事は彼方の方が遥かに長けているだろう。
そんなに近くに居る訳でも無いのに、当たり前に此方に気付き、此方に振り向く。
振り向き様に人を射る様な凍る様な鋭い眼差しが此方を向くが、瞬時に先程の眼差しは見間違いかと思う様な柔らかい眼差しに変わり、此方に向かって歩みを進めて来る。

どうしようか。知らない人と関わるのは躊躇してしまう。有る意味、恐怖すら感じる。だが、自分を知っている人物かも知れない。何か思い出す手掛かりになる様な事が有るかも知れない。
そんな思いが頭の中をグルグルと回る。
そんな思考を巡らせている内に、紅の主は既に目の前に立っている。
何て言えば良い?「初めまして」?、それもおかしいだろう。「貴方は誰ですか?」? それは失礼だろう…。やはり、無難に「こんにちは」か?そうだな。それが良い。
そんな事を考えている内に、こちらが口を開くより先に、

「ミロ。」

と、名を呼ばれる。
名を呼ばれ、伏せ目がちに目の前の人物を視界に入れない様に、自然とそうなっていた目をその人物に向けた。

「思っていたよりも元気な様子で良かった。身体の方はもう良いのか?」

当たり前の様に、久しぶりに会った知人に話しかける様に声話しかけられる。
(でも、この人の事を俺は知らない…。)

「…ごめんなさい…。俺…、何も覚えて無くて…。貴方は、何方ですか…?」

目の前の人物を捉えていた目線も自然に伏せてしまい。己から声を出す事すら躊躇してしまい、震える唇でおずおずと声を出した。
己の口から出た言葉の内容に自分でも胸が苦しくなる。何も覚えていないと再確認する様で。己の言葉に傷付く者も居るだろう事に。

ミロの言葉を聞いたカミュの瞳に陰りが生まれる。失望と言う名の陰りだ。
知らなかった訳では無い。あの密偵の者に、あの神官長を務める老人に、事情は聞いてはいたのだ。知らなかった訳では無いが、それでも、自分の事は覚えていてくれているかも知れないと、カミュの目の前から姿を消してからの間に思い出してくれたかも知れないと、言う期待…。自分だけはミロが忘れる訳が無いと思う程の…自分のミロへの恃む想い…。

続く。よ。









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プロフィール

尾羽っSUN

Author:尾羽っSUN
オバハンが言いたいけど他で言えないって事をほざいてます。
主に腐話。主に聖闘士星矢。主に脳内妄想。
カミュミロが主のミロ受けがメインです。
他にはぶちまけたい愚痴とか、大好きなゲームの話題とかetc.

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