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追憶2

2021/01/11

「カミュ」と名前を呼ばれた紅い髪の人物は怪訝そうな表情で、だが射る様な鋭い目付きで名前を呼んだ彼を見る。

「誰…だ?貴様…。」

(ヤバ…)

そう思ったが後の祭りだ。
彼は焦って取り繕うとしたが、住む世界は違えど内なる小宇宙も自分で感じる事が出来なくても、記憶にある己の姿。
誇り高き黄金聖闘士。
カミュの射る様な眼差しに臆する事無く落ち着いた表情と声で話し始める。

「俺の名前は…ミロ。…カミュは覚えていないみたいだけど、俺達はお互いによく見知った間柄だ………った。」

今のカミュの事を思えば「間柄だ。」とは断定的に言わない方が良いだろう。

「訳が分からんな。」

カミュは吐き捨てる様にそう言うと、ミロに背を向け去って行った。

(まぁ…そうだろうな。)

当然の反応だろう。だが、記憶だけの相手と現実に出会えた事には必ず意味がある。そうミロは確信していた。

ミロとカミュが出会って数日の後の事。

「カミュって…金髪の巻き毛の人が好み…とか?」

「はぁ?何の事だ?」

ミロと同じく、カミュもまた年相応に学生生活を送っていた様だ。

「最近さぁ、そう言う感じの風貌の人がいたら結構見たりしてるけど?』

「何を馬鹿な…。」

自分では全く無自覚だった。
学友にそう言われても、先日会った変な奴を無意識に警戒しているだけだろうと大して気にもしなかった。
が…、何か引っかかる様な、頭の中でハッキリしない何かがある様な気はする様になり始めていた。

カミュと出会った日から数日、あの日以降カミュを見かける事は無かった。
が、ミロの中で記憶の中の人物…、本来のミロであるべき姿が少しずつふわふわとした感じの物から立体的な物に感じられる様になっていた。
夜を迎え、ベッドに横になり目を閉じると、霞がかった様な薄らぼんやりとしたカミュや仲間達と過ごしたであろう記憶が手を伸ばせば掴める様な間近で浮かんでいる様に感じられ、ありえないな…と思いながらも手を伸ばし掴む様に動かしてみる。

勿論何も掴めなかった。

だが、自分の周りの空気が弾けた様な違和感を覚え目を開けてみる。

(どこ………ここ…?)

先程迄学生生活を送る毎日を過ごしていた自宅ではない…。

見回してみても全く見覚えのない、見知らぬ部屋のベッドの上で横になっている。

(何だ…?これ…?)

全く状況が掴めない中突如甲高い音がピピピピピピと鳴り響く。
急な音に身をビクッと縮こませ、音が鳴る方へ顔を向ける。

携帯のアラーム音。
何時セットしたのか?自分の持ち物なのかも分からない。

のっそりと起き上がり、隙間から光の差すカーテンを開けてみる。
途端に部屋が明るくなり、光に慣れていない目を閉じる。

うっすらとゆっくり目を開け改めて周りを見回す。
鏡に写る自分の姿を見つめる。
先程迄学生生活を送っていたミロの姿と何ら変わりはない。
記憶の中の蠍座の黄金聖闘士の姿とも寸分の違いもない。

(一体何なんだ…?)

訳が分からないが先程自分を驚かせたアラームを響かせた携帯を持ち外に出てみる。

見覚えのある、だが、自分が知っているそれとは似ても似つかない古びた建物
や全く記憶にない見知らぬ街並み。

「おや、ミロ君。おはよう。」

不意に見知らぬ老人に声をかけられる。

(誰だ…?) 

「今日は休みかい?」

親しげに話しかけてくる老人。
その老人の全く理解出来ない話の内容。その内容を聞いている内に小さな欠片が集まり一つの物となる様に理解出来ていく。だが、理解は出来ても何の事だかサッパリ分からない。
だが、まるで優れた第六感が急に身に付いた様に直感する。

(このお爺さん…俺の友達だ!)

ミロが毎日キャンパスで生活を共にしていた学友の一人の様だ。

卒業後地元に帰ったあのミロの孫が学生生活を送った街に一人で住んでいる。
老人の話から理解するにそう言う事らしい。
だが、風貌や名前が全く一緒と言う疑問は更々無いらしく、この老人の中の嘗てのミロは自分とは全くの別人であるかの様に話している。

(どう言う事だ…?
それに…、急に身に付いた様な優れた第六感は一体…?)

頭の中で欠片が集まり一つの物を形取った物が全貌が表れる前に輪郭が歪み、それが何であるか分からない様な物に変わる。

話の長い老人との話を切り上げ、自分が生活していた頃よりも新しく変わった街並みを見て回る。
交通機関を使わなければとても徒歩では行けない様な距離も歩いて回る。

(全然疲れないんだけど…。一体全体何がどうなって…?)

!?

(何だろう…?この感覚…?)

突然頭の中に浮かぶ紅の髪の人物の姿。
自分の周りにその姿をした者はいない。
なのに…、カミュがまるで近くにいる様な気配を感じられる。

何がどうなっているのか?
だからと言ってカミュの姿を見つけられる訳では無い…。






                 
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ぬ? ミロの孫??
プロフィール

尾羽っSUN

Author:尾羽っSUN
オバハンが言いたいけど他で言えないって事をほざいてます。
主に腐話。主に聖闘士星矢。主に脳内妄想。
カミュミロが主のミロ受けがメインです。
他にはぶちまけたい愚痴とか、大好きなゲームの話題とかetc.

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