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追憶4

2021/01/13

またどんな所に自分はやって来たのかを見ようと出かける事にする。

全く見た事が無い街並み。
フラフラとしていると、何時か見た記憶がある…だが、その記憶とは似ても似つかない程に朽ちている建物も見かける。

(また時だけ過ぎた同じ街なのか。)

今度の自分はどんな環境に身を置く者になっているのか…?
その様に考えられる余裕が持てる位にミロは慣れ落ち着いてしまった様だ。 

「あ…。」

段々と建物が減り緩やかな傾斜のある道に出る。

(ここは確か…。)

その傾斜のある道を進むと、代々そこに昔から住んでいるのだろう割合裕福層の大きな家が建ち並ぶ落ち着いた静かな住宅地。
覚えている記憶とそう大きな違いの無い景観が見上げる先に広がっている。

その傾斜のある道を進む途中、見上げる先にある住宅街に向かう道とは違う道に入る。
こちらの道も緩やかな傾斜が続き徐々に緑が増える。
この道を進むと足元に広がる街並みを一望出来る緑が豊かな小高い丘に出る。
進むにつれ頂上近くに建つ教会の屋根が目の前の緑の上に顔を出す。
途中教会の墓地の入り口近くに数人の人影が見える。
当然ながら静かな声量で話していてこちらには会話の内容等聞こえない。
筈なのだが、真横を通った訳でも無いのにその人達が話している事が聞こえてくる。

○○さん今日はありがとうございました…
××君気を落とさないでな…、□□もこんな沢山の人達に云々…
△△も○○君に来てもらえて云々…

よくある故人と旧知の中の人が参列してくれた時の会話の様だ。
だが、ミロはその名前を聞いてドキリとする。

(姓が□□で名前が△△って…!?
○○ってまさか…!?)

ミロが思い浮かべた人物と今の会話の人物が同一人物だと確定してる訳では無い。
だが、ミロは自分でも分からない人知を越えた直感で間違いないと確信した。

抑え切れない衝動に駆られ頂上迄の道を一気に駆け上がる。

長い登り坂を一気に走って来たにもかかわらず息一つあがらず心臓の鼓動も普段と変わらない。
そんな事等気にもならない位の沸き上がる感情のまま速度を緩めず勢いよくコンクリートでできた柵を掴む。

先程耳にした名前の人物…。
このミロにとっては先日お爺さんと会話していたミロの仲の良い同僚の名前…。
その名前を口にした老人の名前も同じく仲の良い同僚の名前…。

またあの時からかなりの年月が過ぎていた様だ。
それよりも、全く中身の充実した記憶などないと言うのに、仲の良い学友達との別れの悲しみ、仲の良い同僚達との別れの悲しみ。
人物にはそんな記憶など全くないと言うのに長く仲良く過ごした楽しかった日々が物凄く遠く感じられ、二度と手に入らない胸にぽっかりと穴が空いた様な寂しさが一気に重くのしかかって来た様にたった一人の人間にはとても受け止められぬ大きさで落ちてきた。

哀と苦一色と言える様な感情が、何十年分と言う思い出二人分の大きさで一気に入って来たミロは人として壊れてしまいそうになり、耐え難い心の苦痛のあまりコンクリートの柵をつかんだ手に力を込める。

(帰りたい…帰りたい…楽しかったあの頃に…帰りたい…)

力を込めた手が、まるで柔らかな綿の塊から一握りの綿をもぎ取るかの様にいとも簡単に頑丈なコンクリートの柵を握り潰した。

(!?)

そのたった今起こった現状に驚きのあまり、我に返った様に落ち着きを取り戻す。

(違う………。)

(違う。)

(俺が本当に帰る所はそこじゃない。)

直感。
何の根拠も無い。
あくまでも只の直感。

そう確信したミロは急に紅い髪の人物の気配を感じる。
勿論近くにいる訳はない。
だが、自分がいる小高い丘の頂上からはるか遠方、普通の人間には目視できぬ位はるか遠方に紅い髪の人物の姿を見つける。

その瞬間、1等星が妖しく紅く輝く15の星からなる星座に象られた何かが浮かび上がり、目には見えないその星座を象った物がミロの中に入ってきた様な感覚を覚える。

戸惑う事無く柵を飛び越え、ありえない程はるか遠方にいる人物の前に向かって飛び降りる。






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記憶の断片を残したままの、転生モノな感じですかね?
もう少し進んだら、物語の全体像が見えてくるのかな、とワクワクしております。
カムが早く気づいてくれるといいな♪
プロフィール

尾羽っSUN

Author:尾羽っSUN
オバハンが言いたいけど他で言えないって事をほざいてます。
主に腐話。主に聖闘士星矢。主に脳内妄想。
カミュミロが主のミロ受けがメインです。
他にはぶちまけたい愚痴とか、大好きなゲームの話題とかetc.

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