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追憶12

2021/01/23

目を覚ましたミロは毎日決まったルーティンを繰り返す。
昨夜と同じくカミュの居場所に足を運ぶ。
カミュも昨夜と同様に自宅の玄関のドアの前でミロが来るのを待っていた。

「今日は飛ばされてなかったんだな。」

「お前は気付いてなかったのか?」

「うん、まぁ。置かれた世界の俺の生活なんてもう無意味な物だからな。」

「そうか…。お前にとってはそうかも知れんな。」

今夜もカミュに招き入れられミロは「お邪魔します。」と礼儀を欠かす事なく室内に上がる。

「その後はどうだ?」

「昨夜も前日と変わらずだな…。何も真実に近く収穫は無しだ。」

「そうか…。」

「カミュの方はどう?」

「私に何か飛ばされる以外に変化があると思うか?」

「そうだけど…。その…。」

ミロのお茶を濁す様な返答に、カミュは頭痛を我慢しているかの様な苦悶の表情に変わる。

「あの事か…。変わりなしだ。」

「………そう…。」

ミロはカミュのその言葉に表情が曇る。

「そんな悲しげな顔をするな…。
そんな…私の為に心から気にかけている事か分かる表情をされたら…、
私は………。」

「ごめん…カミュ…。カミュの方が辛いのに…。」

「そうではない…。
私の事を気にかけてくれる相手がいると思うと、………甘えを見せてしまいそうになる…。」

「そんな事…!良いんだよ!普通ならそんな事は起こらない様な平気なままでいられない様な事が自分の身に起きて!まだ何か情報的な物を記憶していた俺と違って、カミュは本当に何も分からない状態で!ずっと弱音も吐かないで頑張って耐えてきたんだから!甘えなんていくらでも見せて良いんだよ!
俺に言ってくれただろう!『お前に頼るしかない』って!
もっと頼ってくれ!頼ってくれて良いんだよ!甘えてくれて良いんだよ!」

ミロは机に両手を着いて立ち上がり身を乗り出してカミュに力説する。

「………ミロ…。」

「やっと、名前呼んでくれた。」

ミロは心の底から沸き上がる嬉しさに満ちた笑顔で満足そうにそう答えた。

自分に対してのミロの力説とミロの偽りのない笑顔にカミュは不可思議な状況になってから初めて癒された気持ちになる。

向かい合って座り会話していた二人は改めて隣り合って座り直すと、カミュがぽつぽつと話始める。

「例の場所にいた時だ…。ミロに我々にとって大事な場所だと聞いたから、何か分かるかも知れないと期待したのだが……、期待する気持ちとは裏腹に心がざわついてくるのだ…。」

ミロは黙って真剣な眼差しでカミュを見つめ話に耳を傾けている。

「何か少しでもおかしな状況から抜け出せる手立てを知りたいと思っているのに…、
知る事を拒否する自分がいるのだ…。」

「自分を知りたいと思う事を拒否するなんて…、
私は…、
…私には何か、何も知らずにいた方が良いとなる程の事が本来の私にはあると言うのだろうか…?そんな事を考えてしまい…、心の中がざわめき始め、言い知れぬ不安に駆られるのだ…。」

「カミュ…。」

「私は一体何者なんだ!?知らずにいた方が幸せである様な人物なのか!?いるべき世界にいてはいけない様な人物なのか!?」

カミュは両手で髪をわしづかんで頭を抱え取り乱す。
ブチブチと髪の毛が引き千切られる音が鳴る。

「カミュ!落ち着いて!」

カミュが自分の髪をわしづかむ両手を引き離し、ミロは両手でカミュの両手を包み込む。

「落ち着いて。」

ミロはカミュの顔をのぞきこむ様に自分の顔を近付け真っ直ぐにカミュの目を見る。

「落ち着いて。」

取り乱してカミュは静かになり、

「あ…ああ…すまない…。」

聞き取れるか聞き取れないか程の小さな声で言う。

「不安な事だらけで取り乱してしまうよな。当然だ。
でも、安心して。カミュは自分が疑心暗鬼になる様な人物では絶対にない。それは本当の本当に本当の事だから。絶対に!」

ミロは優しく落ち着いた声で言い聞かせる様にカミュに話しかけた。













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非公開コメント

だんだん仲良しさんになってきた!
ワワーイ(о´∀`о)
カミュの焦りが良い! 髪の毛ブチブチが妙に好きな変態ヒゲです(笑)
ミロが子供っぽくて可愛い。
不思議なお話で楽しげです😄
プロフィール

尾羽っSUN

Author:尾羽っSUN
オバハンが言いたいけど他で言えないって事をほざいてます。
主に腐話。主に聖闘士星矢。主に脳内妄想。
カミュミロが主のミロ受けがメインです。
他にはぶちまけたい愚痴とか、大好きなゲームの話題とかetc.

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